みずぼうそう

「みずぼうそう」について

みずぼうそうが今年はかなり猛威をふるいました。基本的には軽症の感染症で合併症もまれといわれていますが、予防接種、そして治療薬と医学は進歩してきておりますので今回はこのテーマをとりあげました。

 

原因は水痘・帯状疱疹というウイルス感染症です

水痘・帯状疱疹ウイルスに初めてかかったときになるのがみずぼうそう(水痘)です。90%以上の人が10歳までに感染します。不顕性感染(症状のでない水痘)は少なく、かかれば水痘を発症します。一度かかったら2度かかることはなく、終生免疫ができます。このウイルスは水痘治癒後脊髄の神経節(背骨のまわりの神経)に達して潜伏します。一生住み着くわけです。そして体の抵抗力が落ちたときなどに今度は帯状疱疹として発症するわけです。

 

症状は?? 合併症は??

まず発疹がでます。はじめは虫刺されのような発赤にはじまり、痒みを伴い、数日で周囲が赤い水疱となり、最終的にかさぶたになって終了します。通常5から7日で治癒します。発熱はないものも高熱の持続するものもあり、発疹が出始めたときに多いですが、数日してから現れることもあります。発熱がある率は70%といわれています。流行は年間を通じてみられますが、夏は少なく、年末年始から夏前に流行します。感染は母親の免疫にもよりますが、母親がかかったことがある児も生後1ヶ月からかかります。年齢により重症度が違います。生後4ヶ月未満で母に免疫のある乳児はきわめて軽く済み、7ヶ月以上は重症で乳児期後半から1歳にかけて最も重く、2歳以降は割に軽症となりますが、7歳から再び重症になります。  合併症は発疹における細菌の2次感染が最も多いです。この他には中枢神経(脳)において髄膜脳炎、急性小脳失調症(急にふらついて歩けなくなったりします)がみられますが、水痘1000例中1例以下の確率で、一過性であり、予後良好です。

[先天水痘症候群]

妊娠第8~20週の水痘ウイルス初感染例の約2%に発症します。症状は皮膚瘢痕、目の異常(小眼球症、ぶどう膜炎、白内障など)、四肢の異常や低形成などがみられます。

[胎内感染]

母親が分娩5日以前に水痘発症した場合、移行抗体を得ますが、母親が分娩4日前から2日後以内の場合、新生児水痘として重症化、死亡することがあります(約30%)。

 

学校・保育園はいつまで休み??

みずぼうそうウイルスは非常に伝染力が強く、発疹の中にウイルスがたくさんいるわけですが、その発疹からだけでなく、その人からでる息からも空気感染します。感染力があるのは発疹出現1~2日前から水疱がすべてかさぶたになるまでです。この感染力がある期間は学校保健法で登校、登園が禁止となります。全経過は5?7日です。ですから遊んだ子供が翌日、または翌々日にみずぼうそうになったと聞いたときはもううつっている可能性があります。うつってから、発症するまでの潜伏期間は約14日(10~21日)です。家族内で水痘が出た場合、まだかかっていない人は90%以上の確率でかかります。また家族内からうつった場合は重症化し、発疹は約2倍になります。

 

治療は??

平成6年ゾビラックスという粉薬が水痘の治療薬として使うことができるようになりました。大事なことは発症してから72時間以内に内服を開始しないと効果が期待できないことです(早いほうがいいです)。安全性は高いのですが、長期的な免疫の持続やその他のことで全例に使うか議論のあるところです。私としては水痘は重くなってしまうこともあり、薬の安全性は高いので、かかった場合は早く使ってあげたほうがよいと思っています。

 

予防は予防接種がおすすめです。

水痘ワクチンは日本で開発され、それが世界で使われています。安全性は高く、副作用はありません。これは生ワクチンといって水痘のウイルスを少しだけ体に入れ、軽い水痘にかけるわけですが、このウイルスは変異株であり、発疹をだすことがありません。我が国での接種率は20%前後、接種した人のうち、1?2割に水痘を発症することがありますが、症状は軽く済みます。免疫効果は現在20年後調査まで終わっていますが、持続することが確認されています。日本ではまだまだ少ない接種率ですが、アメリカでは1995年より全員にワクチンをすることが義務づけられました。この根拠は水痘ワクチンは変異株で発疹を出さずに免疫をつけることより、体内に水痘ウイルスが潜伏せず、将来の帯状疱疹の発症率の低下が期待されるからです。また欧米では高齢者の帯状疱疹発症予防を目的として、高齢者のワクチン接種も始まっているように、今後さらに注目されるワクチンです。

 

このように副作用もなく、帯状疱疹も予防できる可能性のあるワクチンでとてもよいのですが、値段が高いのが欠点です。これらの情報を理解していただき、金銭的にも可能であれば予防接種をうけることをお薦めします。