インフルエンザと予防接種

「インフルエンザと予防接種」について

有効性は??

私たちが小学生の頃は毎年インフルエンザの予防接種を学校でやっていたことと思いますが、現在はインフルエンザの予防接種は学校ではやらなくなりました。1976年より3歳以上の保育所幼児、小学生、中学生を対象とし、インフルエンザの予防接種をしていましたが、1994年の予防接種法改正にて任意接種になり、接種率は激減しています。私たちが小学生の頃を思い出していただければよいのですが、予防接種を全員にしていましたが、インフルエンザで学級閉鎖になったりしました。このように予防接種にて流行を阻止することが出来ないという指摘と、有効性に疑問の声が上がり、このような変更になりました。

 

受けた方がいいの??

では、インフルエンザの予防接種をしなくてよいのだろうという話になり、減少してきたわけですが、これは世界的にみれば日本のみの異常事態です。世界的にはインフルエンザの予防接種率はどんどん高くなっています。これはインフルエンザの有効性の評価を日本では間違った結果といわれています。現在でも毎年高齢の方を中心に日本でも2000~3000人の死者をだす恐ろしい病気です。小児科領域では乳幼児の脳炎、脳症を起こし、それによっての後遺症、死亡が年に100~200例あります。治療薬も開発されてきていますが、一番の治療はやはり予防接種といわれています。副反応に関してもインフルエンザは最も予防接種の中で少なく、100万接種あたり0.35とかなり少ない数といえます。ただ、重篤な副反応もあります。治療薬に関していえばこちらの方の副作用の確率が高くまた治療効果も増殖を抑えるのみで、決してウイルスを殺すわけではなく、予防接種をするまでの時間稼ぎのような治療薬です。

 

特に集団生活をしている人(保育園、学校など)、基礎疾患のある人(喘息など)は受けたほうが良いと思います。ただし、この予防接種は作成時に鶏の卵を使用しますので、卵アレルギーの方は予防接種できません。

 

次に接種年齢は、生後6ヶ月頃からというのが一般的なようです。それまでは母親からの免疫が残っており、インフルエンザにはかかりにくいようです。しかし、それが切れるころは全く免疫がなくなってしまうので、かかると重症化します。前述の脳炎、脳症のピークは1~3歳に集中しており、昨年のデータでは5歳以下で179例82%をしめ、うち50例が死亡しています。これらは全員予防接種を受けていなかったとのことです。ただし、予防接種が脳炎の予防効果があるかははっきりはしていません。また、小さいときの予防接種の効果は弱く、1年もすればほとんど効果がなくなることもあり、また流行するものも微妙に違うタイプのインフルエンザが毎年おこりますのでやはり毎年受けたほうが良いと思われます。

 

以上をまとめますと、昔とは考え方が違い個人を守るという意味の予防接種であり、集団生活に入る場合は自分の子だけでもインフルエンザにかからないように、特に1歳から5歳の子供は重篤になる場合が多いのでぜひ受けておいたほうが良いと思います。また、喘息、心疾患などの基礎疾患のある卵アレルギーのない人も予防接種は受けておいたほうが良いと思います。自分の子はどうしたら良いかなどわからないことがございましたら、小児科医師まで御相談下さい。ただし、インフルエンザウイルスは微妙に形を変えており、予防接種をしたからといってかからないとは限りません。特にB型は予防接種の効果は弱いことがいわれています。

 

いつ接種するの??

接種時期は流行する12月には抗体をあげておきたいので、10月初めから中旬に1回その1ヶ月後にもう1回と11月中旬までには済ませるように、遅くても11月中旬までに1回はし、年内には2回しましょう。当院では9月16日から予約を開始いたします。予約は小児科外来まで、電話でも結構です。薬品が確保でき次第電話連絡し、接種日を決めます。みなさんもこの予防接種の必要性を理解していただき、受けていただきたいと思います。またまわりの人にも情報をあげて欲しいと思います。