臨床検査のための資格

臨床検査部の仕事

臨床検査部の仕事は、おおまかには患者さんまたは検診者から尿、血液、組織などを採取し、検査する「検体検査」と機械工学や電子工学の技術を応用し患者の身体にみられる電気的変化を検査する「生理機能検査」に分けられます。検体検査は血液中の成分を分析して、症状を検査する臨床生化学検査、貧血の原因や血液の凝固反応などを調べる血液検査、尿中のタンパク質や糖を検査する尿一般検査、その他便潜血、痰からの結核菌、便からの病原性大腸菌(O-157など)等を見つけ出し病気の原因となる細菌類を検査する細菌検査、内視鏡や手術で採取された組織を顕微鏡的に診断する病理組織検査、子宮がん検診で採取された細胞や、尿、喀痰、腹水、胸水などの剝離細胞から得られた検体を標本とした細胞診検査などがあります。

一方、生理機能検査は、心電図、心エコー(超音波検査)や肺活量測定などの呼吸機能検査あるいは脳波、神経伝導検査、脈波などの検査があります。

 

臨床検査技師

臨床検査技師とは

医師の指示のもと、臨床検査を専門に行うのが臨床検査技師です。
臨床検査とは、患者さんから得られる検査材料(検体)を基に検査データを報告することにより、医師の正しい診断と治療のために診療支援をする業務をいいます。他方、検査は将来起こりうる病気を予測するという“予防”の役割も担っています。
病院等で検査業務に携わる技師については検査業務の専門化と高度化が進み1970年に法律が改正され臨床検査技師の資格が生まれました。

また、これと関連して臨床検査技師の有資格者として一年以上の実務経験のある人が受験できる細胞検査士、その他超音波検査士という資格もあります。このように臨床検査の仕事はさらに分化が進んでいます。

 

臨床検査技師になるには

おもな受験資格は以下のとおりです。

 

  1. 大学入学資格をもつ者で、文部科学大臣が指定した学校または厚生労働大臣が指定した臨床検査技師養成所で3年以上、臨床検査技師として必要な知識と技能を修得した者
  2. 大学の医学または歯学の正規の課程を修めて卒業した者・国内または外国で、医師もしくは歯科医師の免許を取得している者
  3. 文部科学大臣指定の学校または厚生労働大臣指定の臨床検査技師養成所において所定の科目を修めた者

 

試験科目 医用工学概論、公衆衛生学、臨床病理学総論、臨床検査総論、病理組織細胞学、臨床生理学、臨床化学、臨床血液学、臨床微生物学、臨床免疫学
受付期間 例年1月上旬まで
試験日 2月下旬
合格発表 3月下旬
試験についての
問い合わせ先
東京都千代田区霞ヶ関1-2-2
Tel 03-5253-1111
厚生労働省医政局医事課試験免許室国家試験係

  

細胞検査士

細胞検査士とは

細胞検査士は、子宮癌検診や肺癌検診などで採取された細胞を塗抹・染色して標本を作製し、顕微鏡で全視野を観察(スクリーニング)して悪性細胞の有無や病変を推定します。最終的な診断は細胞診専門医が行います。

現在のところ日本では約6,000人が学会認定の細胞検査士免許を持っています。

 

細胞検査士になるには

臨床検査技師または衛生検査技師の資格を有し、主に細胞診検査の実務に1年以上従事した者、細胞検査士養成所あるいは養成コースのある大学の卒業または卒業見込みの者が受験することができます。試験は一次試験(筆記、カラープリントによる細胞像試験)と二次試験(鏡検、実技)があります。
日本臨床細胞学会認定の資格で、5年ごとに更新手続きがあり、細胞学会やセミナー、研修会等へ参加し、資格更新のための単位取得が義務付けられています。

細胞検査士の業務は、がんの早期発見や正確な判定をすることであり、常に新しい知見を得て高い細胞判定能力を維持、向上していかなくてはなりません。

 

超音波検査士

超音波検査士とは

超音波検査士とは日本超音波医学会が認定する資格制度であり、進歩する超音波技術を活用し検査技術を磨き、医療に貢献していく技師を育むことを目標においたものです。各専門領域があり体表臓器・循環器・消化器・泌尿器・産婦人科の5部門に分けています。

 

超音波検査士になるには

資格試験は、臨床検査技師・看護師・放射線技師のいずれかの資格をもち、なおかつ日本超音波医学会または日本超音波検査学会に3年以上所属したもの及び実務経験者に受験資格が得られます。試験内容は、機器の原理や音響工学等に関する基礎編と各専門部門の症例編になっており、かなり高度な知識を必要とされています。